股関節の痛みをマットレスを変えずに解決する方法
股関節の痛みをマットレスを変えずに解決する方法とは、縮んで硬くなっている股関節の周りの筋肉がゆるめることです。
たとえば仰向けの姿勢で痛みが出る場合のは、硬くなっている股関節の前側の筋肉が、仰向けの姿勢によって伸ばされることが原因です。したがって股関節の前の筋肉をゆるめれば解決します。
もし寝ているときの股関節の痛みをマットレスで解決しようと考えるなら、どのようにして股関節の痛みが出ているのか知っておくことが大切です。なぜなら痛みが起きる仕組みを知らないままでは、適切なマットレスを選ぶことができません。
一方で、股関節の痛みを引き起こしている原因を調べていくと、必ずしもマットレスの交換が解決策とならないという判断に至るかもしれません。
- 変形性股関節症と診断されている
- 股関節だけでなく腰に痛みがある
- マッサージなどの施術を受けたことがある
解決に大切なのは、体のクセを知ること
股関節痛を患う方みは、特徴的な体の使い方や、関節の動きに問題があります。それらを知ることで原因を特定し、どのようにして解決してゆくのが無駄が無く、なおかつ最短の方法となるのかが見えてきます。股関節に痛みを生み出す体のクセを見ていきましょう。
1.股関節の外旋が苦手
1つ目は、股関節を外へねじる動きです。
イラストは股関節を外にねじる外旋(がいせん)という動きをテストしています。外旋が苦手だと、膝を床へ近づけるのが難しくなります。膝と床へ近づけていくと、こぶしが1~2つが膝と床の間に入るぐらいにまで下がるのが正常です。
股関節に痛みが出る方の多くは、常に足先が内側を向いているのですが、これは外旋の動きが苦手だからです。
なぜ外旋が苦手なことが股関節痛に関係するのでしょうか
外旋が苦手だと、足先を内側へ向けて歩きます。すると股関節の前の筋肉が緊張し、やがて硬くなったまま伸びなくなります。
体のバランスが崩れて股関節に負担をかける立ち方になっていきます。
なぜ外旋が苦手なのでしょうか
お尻の大殿筋(だいでんきん)と呼ばれる筋肉が、弱っていると外旋が難しくなります。現代の暮らしは大殿筋が活躍する場面が少なく、眠らせたままの筋肉は弱くなるばかりです。
加えて太ももの内側が硬いために、外旋の邪魔をしていることもあげられます。
座っている時間が長いと、太ももの内側が硬くなります。
2.前かがみの姿勢
2つ目は、前かがみの姿勢です。
イラストは理想的な姿勢に対して、どのポイントが正しい位置から外れているかを示しています。股関節と肩、そして耳が1本のラインの上に位置していると、股関節に負担が少ない良い姿勢と言えます。
股関節痛に悩む方は、立つときも歩くときも、顔を前に出して前にかがんだ姿勢をとる傾向があります。
なぜ前かがみの姿勢は、股関節痛と関係があるのでしょうか
前かがみになると、頭を前に出した姿勢で歩くことになります。そのため歩幅が狭くなり、つま先から地面に足を着きます。理想は、かかとから足を着地です。また太ももの前の筋肉ばかりを使うことになり、軽く膝を曲げて立つようになります。
前かがみの姿勢がもたらす複数の結果が絡み合い、股関節の前側の筋肉を圧迫し、収縮させることになります。こうした股関節に負担が続くと痛みが出てきます。
なぜ前かがみの姿勢になっているのでしょうか
顔が前に出る姿勢を続けた結果です。車の運転やスマートフォンをはじめとした、あらゆる原因があります。痛みに対する恐怖感から来ていることもあります。
3.過度な骨盤の傾き
3つ目は、骨盤の傾きです。
骨盤は前後に傾くようになっていますが、前後のどちらかに対してい傾きが強くなっていると痛みが出ます。若い方で活動的な方や、股関節の痛みが重度の方は、多くの場合は前に傾き過ぎています。反り腰と呼ばれるもので、お尻を後ろへ突き出した姿勢です。
反対に、ご高齢の方は骨盤は後へ傾いていて、背中を丸めた姿勢です。
なぜ腰の傾きが、股関節痛に関係するのでしょうか
骨盤の前傾を例に説明します。骨盤が前に傾きすぎると、股関節の前側の筋肉を圧迫し、筋肉の収縮へとつながります。
なぜ腰が傾き過ぎるのでしょうか
骨盤の前傾を例に説明します。大腿四頭筋(だいたいしとうきん)と呼ばれる太ももの筋肉が縮んでいると、反り腰になります。人体でもっとも力強い筋肉でもあり、骨盤の向きを変えてしまうには十分な影響力があります。
その他は、大腰筋(だいようきん)が緊張している場合や、大殿筋(だいでんきん)や腹筋が弱くなっている場合があります。
施術の記録
股関節の痛みが、どのような手順で良くなっていくのか記録から見ていきましょう。
- 症状:1年前から股関節と膝に痛みが出る。手と足にしびれが出る。
- ご年齢:50代
- お仕事:立つ時間が長い。
- 試したこと:病院で検査。薬の服用。
これまでの流れを時系列にすると、次のような流れになります。
- 足先は18年前からしびれがあり、特に就寝時に強くなる。
- 1年前から股関節と膝に痛みが出るようになる
- 病院で診察を受けたが改善が無い
原因を探るために、さまざまな検査を行います。体のさまざま部位は、動かせる範囲は決まっています。もし本来の動きができないでいたり、上下や左右どちらか一方が動かしにくい場合は、そこが痛みを出す原因として考えられます。
検査結果
検査したところ、うまく機能していない部分が、下半身に認められました。
股関節の動きを確認しました。
脚を外へねじる動きをすると、痛みのある左脚の股関節は、右脚に比べると動く範囲が狭くなっています。それだけでなく股関節の周囲に張りを感じるなど、動きにくさを認識されています。
原因として考えられることの1つに、骨盤の回りの筋肉の緊張が考えられました。
次は骨盤にどのような問題があるのかチェックをしてみます。
股関節に痛みを訴えていますが、最初から股関節に触れることはしません。理由は2つあります。
①炎症が悪化して、来院回数が増える
マッサージすると一瞬は血行が確実に良くなるので、気持ち良くなります。ところが痛みを出している筋肉は炎症しているので、筋肉を押すことで炎症が大きくなってしまいます。すると常に痛みが出続けることになるので、施術をしている間は、症状が良くなってるのか何も変わっていないのか判断できなくなります。
これでは症状が改善されたのか、その場で分からなくなるので、「今日はここまでです。しばらく様子をみてください」と言うことになり、ご来院の回数が増える結果になります。お客様への負担が増えるのは、望ましくありません。
②痛みが出ている場所に原因が無い
股関節に問題が出ているときは、遠く離れた腰や脚に原因が潜んでいることが多いです。股関節の周囲の筋肉をゆるめると一時的に痛みが緩和されますが、根本的な改善にはなりません。
また痛みが出ている筋肉は、ゆるめてはいけない筋肉だったりもします。そうなると施術するほどに、さらに悪くなってしまいます。
以上の2つの理由から、 股関節に痛みを訴えてはいますが、はじめから股関節に触れることはしません。
施術の内容
整体の施術方法をご紹介します。
苦手な動きにも積極的に動かしてもらうようにしています。この方は、太ももの筋肉が硬くなっているためにイラストのような体勢を取ることが難しかったのですが、できるようになるまで調整していきました。
痛みが出ているときはもちろんですが、痛みが強くなるかもしれないという不安から、股関節を動かすのを止め、そっと静かにしておく方がいらっしゃいます。
しかし動く範囲が狭くなった関節が存在する限り、股関節への負担は消えません。
痛みが出ている状態で動かすことはできませんから、そこで、まず最初のステップでは痛みを軽減させる施術をします。この時点で痛みが消える方もいらっしゃいます。
次のステップでは、痛みが軽減したところで、苦手な動きに無理の無い範囲で挑戦していきます。苦手な動きが無くなる頃には、当初の問題は解消されます。
施術の前に実施した検査のときに痛みがあった動きに再び挑戦します。股関節と手足のしびれが解消されたのを確認してもらいました。
膝の裏に張りが残りましたが、当初の2割程度の不快感にまで軽減しているので問題が無いと伝え、毎日のストレッチに取り組むよう提案しました。この後、2回の施術を受けて完了しました。
整体で問題を解決する手順
幼いころからの遊びやスポーツ、事故や出産といったさまざまな出来事を通して身についた体の使い方が、今日の体の状態を作っています。
もし痛みが出ているなら、「これまでの体の使い方に問題がありますよ」という、あなたの体からのお知らせに他なりません。
解決するための第一の段階は、痛みを止めることです。検査を通した原因の洗い出しをした上で施術をすれば、痛みは軽減します。痛みが改善した状態になってはじめて、正しい体の使い方を習得する準備が整います。
第二段階は、正しい体の使い方を習得していくことです。元の体へ戻らないように、体と脳を変えていきます。
体の痛みは生活習慣が原因となることが多いですから、ストレッチや運動が必要となってきます。歯磨きと同じようにコツコツした継続が大切です。
痛みを解決したいと思ったら、まずは痛みを止めることです。ストレッチや運動は、その後からです。