首こりや腰痛の原因は足の傾きにあった!足と痛みの関係

足に問題を抱える人は世界人口の88%にもなるのですが、日本の足病医学は欧米よりも遅れをとっているため、足について教育を受ける機会は少ないです。そのため、本来ではあれば、足を調整すれば改善する首こりや腰痛も、長年治らないでいるのです。

足のコンディションを整えるためにもお尻の筋力をメインに鍛えることを推奨されます。この記事では、関連性が少なく感じる足と腰痛や首こりの関連性をみていきます。

目次

オーバープロネーション:世界で5人に3人が抱える身近な問題

腰痛の原因の1つに、足のオーバープロネーション Over Pronation(過回内:かかいない)があります。過回内は、外反母趾や腰痛に関係していることがわかっています。

2002–05年にかけて、Menzらは、1930人(36–92歳の男女)を対象に大規模な研究を実施しました。∗1 偏平足(へんぺいそく)、ハイアーチ、回内、回外、左右非対称の要素が腰痛と関連性があるかを調べています。

その結果、

・偏平足とハイアーチに対して、男女共に、腰痛との関連性は見られなかった。

・女性において、回内足と腰痛との関連性が見られる。

・インソール(足底板)は腰痛の予防と治療に有効である

ということが明らかになっています。

偏平足、ハイアーチ、回内、回外と腰痛との関連性

Rheumatology (Oxford). 2013 Dec; 52(12): 2275–2282.より著者作成

 

特に女性は、異常が無い女性と比較して、腰痛になるリスクが1.48倍も高 くなっています。オーバープロネーションは、世界で5人に3人が抱える身近な症状です。論文を元に知識武装して、どのような対策ができるか見ていきましょう。

足関節のオーバープロネーション(過回内)とは?

オーバープロネーション(過回内)とは、どんなものなのでしょうか?プロネーション(回内)は、健康な足でも発生する動きなのですが、これが過剰になるとオーバープロネーション(過回内)ととして扱われます。まず、プロネーションをより深く知るために、2つの足のメカニズムについての知識を深めましょう。

機能その1:柔軟性の切り替え

歩くとき、足には体重の2倍の負荷がかかります。そのため、足には衝撃を吸収する衝撃緩衝の機能が必要になってきます。衝撃を吸収するには、スポンジのようにやわらかい素材が適していますね。でも、次に足で蹴り出して進むときは、やわらかいより硬い方が良さそうですよね。

やわらかい足と硬い足を切り替え機能

実は、やわらかい足・硬い足を、切り替えることをしているのです。着地する時は瞬時に足をやわらかくし、最後の足が地面から離れるときは、しっかりと硬い足で蹴り出してくれます。

どのようにして、やわらかい足・硬い足を切り替えるのでしょうか?

どのようにして、やわらかい足・硬い足を切り替えるのでしょうか?下のイラストをご覧ください。

回内と回外の説明

回内(プロネーション)といって、足を内側へ回す(倒す)動きがあります。回内すると、足の結束がゆるんでアーチが低くなります。足をひしゃげてショック吸収するイメージがつきますね。これで、やわらかい足ができあがります。

回外(スピネーション)は、その反対です。足を外側へ回すと、足の結束が強固になりアーチが高くなります。弓のように緊張させて、勢いよく飛び出ていきそうなイメージです。これで、硬い足の完成です。

回内・回外はどのようにして起きるのか?

続いて、回内・回外が、どのようにして生じるのか見ていきましょう。体重がかかった状態で、スネを内旋(ないせん:内側へ回す)させると、足も回内する仕組みです。反対で、スネを外旋(がいせん:外側へ回す)させると、足は回外します。

スネの内旋や外旋はどのようにして起こるのでしょうか?

スネの内旋や外旋はどのようにして起こるのでしょうか?それは、腰をひねる動きが原動力になります。

例えば、右足が地面に着いた時、右足は内旋してやわらかい足を作ります。やがて、左足が前に振り出されます。この時、腰をひねりながら左足を振り出します。この腰をひねる動きが、太ももとスネに順番に伝わって、スネを外旋させていきます。外旋したスネは硬い足を作りあげます。

下の図は、骨盤から足にかけて内旋・外旋が切り替わる様子をまとめたものです。腰のから順番に回転が伝わり、やわらかい足・硬い足を、上手に切り替えていますね。

歩行位相と足の硬軟の対応を示すイラスト もし、スイッチ機能が働かないと、アーチをつぶしたまま歩くことになります。やがて、外反母趾などの問題がでてきます。

機能その2:より効率よく移動!足のころがり機能

足は、ちょうど、丸いボールが、どこまでもコロコロ転がっていくように効率よく体を動かすための機能が備わっています。カカトが地面に接地すると、カカトの丸い形状は筋肉を使わなくても前に転がってくれます。これは、ヒール・ロッカー運動と呼ばれます。(Rock:揺れる)ちょうどロッキングチェアの揺れる様子に例えられます。ヒールロッカー運動

この前に転がる動きは、次の、アンクル・ロッカー運動へ引き継がれます。カカトには距骨(きょこつ)と呼ばれる骨に、距骨滑車と呼ばれる部分があります。距骨は、唯一、筋肉がつかない骨でもあり、滑らかに体重を前へと移動させます。

最後の仕上げは、前足部のフォアフット・ロッカーです。MP関節と呼ばれる部分が曲がって、体重を前に放り出す場面です。小さな種子骨などと協調しながら、効率よく前に進むエネルギーをリレーします。

しかし、このフォアフット・ロッカー運動は、とある条件がそろわないと働かず、せっかくの推進力にブレーキをかけながら歩くことになります(アブダクトリー・ツイスト)すると前足部で地面をツイストする動きを反復するため、結果、足裏に過剰な角質形成されます。私は、この症状があっと時、スニーカーの親指の部分に穴があいてました。

ロックと切り替えができない条件がある

さて、やわらかい足に切り替えて体を守りながら、足を転がしてエネルギーを効率よく移動させる足の機能を見てきました。これを初めて知った時は、よく設計された様子に驚き、足についてさらに学ぼうと刺激されました。ところが、こんなにすごい機能ですが、簡単に止めてしまう要因があるのです。

それが、オーバープロネーション(過回内)なのです。健康な足でも発生する回内はとても自然な動きですが、これが過剰に出てしまうと、さきに説明した2つの機能が働かなくなります。

その結果…

やわらかい足と硬い足の切り替えができず、常に、やわらかいままで歩く

 →外反母趾、偏平足などの問題に発展

フォアフットロッカー運動の時、転がすことができずブレーキをかけながら歩く

 →アブダクトリーツイスト、タコ、爪の出血などに発展

やがて、足の故障は、遠い位置にある、股関節に及び、されには、腰、首、頭などの痛みにも影響していきます。

オーバープロネーションに、どうしてなるの?

過回内(オーバープロネーション)は、どうして生じるのでしょうか?病態力学は複雑で、原因は完全に理解されておりません。現在のところ、股関節と膝関節の相互作用、距骨下関節の機能障害が原因とされています。

これまでも、インソール(足底版)を使うなどのトップダウン・ボトムでの制御方法で治療が進められていました。現在は、足よりも上の股関節などにアプローチするトップダウンの制御方法を加えてのアプローチが推奨されています。改善方法には、筋肉のトレーニング、インソール(足底板)、歩き方の修正があります。

原因1:筋肉が弱い

Reedらが、283個のランニング障害に関する論文を調査しました。その結果、臀筋群(お尻)の弱さとランニング障害が関係している事を明らかにしています。∗2 この筋肉がうまく機能しないと、片足で立つ時のバランスが悪くなります。歩行動作を細かく見てみると片足立ちの連続ですから、臀筋の弱さは問題です。

Kelliらによると、実際に、お尻鍛えた結果、参加者の57%が過回内に改善が見られました。∗3 臀筋群を鍛えるには、デッドリフトやバックランジなどが有効です。

原因2:筋バランスと骨配列の問題

例えば生活習慣やアクシデントなどで距骨の動きが悪くなると、膝や股関節の姿勢へも影響がでます。結果、間違った足の使い方を始めることになります。やがて、股関節や膝の間違った動きが、足へ反映され、悪いサイクルが循環していきます。

こうなると、どちらを立てても、片方が倒れてしまします。手技で矯正できる場合がありますが、立って歩くと重力によって元の状態に戻ってしまうため構造医学的に見てもむずかしいところです。

インソールは入れたその時から本来の足の動かし方へ誘導してくれますので、筋バランスや骨配列が乱れた構造を戻すのには有効です。

Menzの研究でもインソールが推奨されているように、研究が進んでいる欧米の足病医にとってインソールは有効な選択肢になっています∗1また、ランナー向けに、オーバープロネーション対策したシューズが各社から出ています。

インソールは、個々に合わせたフルオーダーの物が良いでしょう。なぜなら、足のつき方が変化すると、履けないぐらい痛みがでる場合もあるのです。その時、フルオーダーなら熱をくわえることで、再度、調整できる場合があります。

原因3:歩き方の問題

学校やメディアから教わる歩き方によって、回内足になるケースもあります。膝をしっかり伸ばしたまま着地するように奨めるものや親指で地面をとらえるように指導しているものがありますが、やわらかいまま着地して、やわらかいまま、足をつぶしながら蹴り出すことにつながります。また、1本のライン上を歩く一軸歩行は、重心移動に問題があるため負担をかける歩き方です。歩き方いついては、別の機会でふれていきます。

まとめ

腰痛の原因は足に内在する可能性があります。足の問題を放置することで、やがて、股関節→腰→肩→頭といった上半身への問題にも発展する可能性があります。正しい歩き方、正しい筋力トレーニング、適切なインソールによって、これまで良くならなかった首や腰の痛みがなくなる可能性が高めることができます。足は複雑な構造ゆえ、3つの方法を組み合わせて、効率よく解決していきましょう。

 

参考文献
∗1 Menz HB et al.
Foot posture, foot function and low back pain: the Framingham Foot Study.
Rheumatology (Oxford). 2013 Dec;52(12):2275-82.

∗2
Reed Ferber, PhD et al.
Suspected Mechanisms in the Cause of Overuse Running Injuries
Sports Health. 2009 May; 1(3): 242–246.

∗3
Kelli R. Snyder et al.
Resistance training is accompanied by increases in hip strength and changes in lower extremity biomechanics during running
Clinical biomechanics (Bristol, Avon) 24(1):26-34 · November 2008

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