ばね指で朝だけこわばるのはナゼ?

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ばね指で朝だけこわばるのはなぜ

ばね指で朝だけこわばるのは、夜寝ている間の血流の低下が原因です。就寝中は体の動きが少なったり、体の一部をベッドへ押し付けた状態が長時間続くために、日中よりも血流の循環が低下します。

血液には筋肉への栄養や酸素の補給の役割がありますから、血流がとどこおると筋肉が硬くなってきます。指が曲がったままで朝を迎えるのは、筋肉が硬く縮むときに指を引っ張っり、その状態で固まっているからです。

したがって筋肉の緊張が原因ですから、筋肉が硬くなる条件がそろえば、就寝中に限らず日中でもばね指になります。家庭菜園でスコップを使っていたら一時的にばね指になり、その日の終わりには治ったというようなケースです。

なぜ指だけに問題が現れるのか

ばね指の原因となる筋肉のこわばりは、血流の低下の影響であることは分かりましたが、ポイントは「指だけに問題が出ている」という点です。誰しもが抱える夜間の血流低下ですが、その影響が腰や肩に痛みとして出ることもあれば、何も問題が無いという方もいます。

なぜ指に症状が現れたのでしょうか?

この記事は、次のような方にも参考になります
  • 弾発指や腱鞘炎と診断されている
  • 朝だけでなく、日中もばね指の症状が出ている
  • 手術したが再発している

解決に大切なのは、体のクセを知ること

ばね指の原因を知ることは、朝の指のこわばりを解決策を考えることと同じく大切です。

ばね指に悩む方は、特徴的な体の使い方や、関節の動きに問題があります。それらを知ることで原因を特定し、どのようにして解決してゆくのが無駄が無く、なおかつ最短の解決方法となるのか見えてきます。指に痛みを生み出している体のクセを見ていきましょう。

ばね指に悩む人の共通点

肩が床に着かない

ばね指に悩む方に共通している点は、肩が前に出ていることです。

イラストは肩と床の間に隙間があるかどうかをチェックしています。ここに隙間が無い状態が理想です。

ばね指だけでなく、手先のしびれや、手に力が入らないといった症状の方も、この隙間があります。隙間が無くなるように緊張をゆるめると改善します。

なぜ肩と床の間に隙間できるのでしょうか。それは胸の筋肉である大胸筋が硬く緊張しているためです。

大胸筋が硬い理由1:腕の使い方

大胸筋が硬くなる要因として主に2つあります。1つ目は腕の片寄った使い方です。

私たちの暮らしの中では、腕を内側に回したままでいる時間がたいへん長いのです。自転車のハンドルを持つときや、ペンや包丁を握るときの腕は内側を向いています。

外側を向けた状態でいることは、ほとんどありません。あるとすれば、ドアノブをひねるときや、お盆を運ぶときぐらいでしょう。

大胸筋がゆるむ場面が少なく、縮ませるばかりの筋肉は、やがて短く縮んだままになります。

大胸筋が硬い理由2:お腹が硬い

上を見上げる検査

大胸筋が硬くなる要因の2つ目は、腹部の筋肉が硬いことです。

イラストは首の動きをチェックしています。顔が天井と平行になるぐらいにまで上を向けるなら正常な可動域です。

このとき首だけでなく、腹部の緊張が原因で十分に上を向けなかったり、首や背中に痛みが出ることがあります。

首の動きに制限をかけている要因が首ではなく、お腹にあることもしばしばです。特にばね指を持つ人は腹部が硬くなっています。

指から遠く離れた腹部が要因となっているだけに見逃しやすいポイントですが、腹部の緊張が、背中にある肩甲骨によって引き起こされているという意外性もまた根本的な解決を難しくしています。

肩甲骨は背中にあります。なぜ肩甲骨の問題が、お腹が硬くするですか?

肩甲骨が外側へずれることは多く見られます。外へ移動した肩甲骨の位置を元に戻そうとして背中の筋肉が縮みます(菱形筋、僧帽筋のエキセントリック収縮)。さらに狭くなったスペースに適応しようとして前鋸筋が縮みます。

これらの背中の筋肉が緊張していると胸の骨組み(胸郭)の動きが制限されるようになります。やがて胸の緊張は、胸とお腹をつないでる肋間(ろっかん)神経を通じて腹部へと伝わります。

なお、胸の緊張の影響を受けたお腹の筋肉は硬くなり、胸の筋肉を引き下げます。すると猫背になった方が楽になっていきます。

まとめると、背中にある肩甲骨がお腹を硬くするのは、背中の緊張が神経を伝ってお腹へ影響するからです。

施術の記録

ばね指が、どのような手順で良くなっていくのか記録から見ていきましょう。

STEP
問診
カルテ
カルテ
  • 症状:
    ①朝起きるとばね指
     指先の使い方によっては日中でも指が曲がったまま
    ②座ると股関節とお尻に痛み
  • ご年齢:40代
  • お仕事:座る時間が長い
  • 試したこと:整体、ストレッチ
経緯

これまでの流れを時系列にすると、次のような流れになります。

  1. 10代から肩こりがある。
  2. 半年前からばね指が始まる。いつも薬指が動きにくい感覚。
  3. 最近は座る時間が増え、股関節とお尻の横に痛みが出る
  4. 全身のストレッチをしたが改善しない
STEP
検査

原因を探るために、さまざまな検査を行います。体のさまざま部位は、動かせる範囲は決まっています。もし本来の動きができないでいたり、上下や左右どちらか一方が動かしにくい場合は、そこが痛みを出す原因として考えられます。

検査結果

検査したところ、うまく機能していない部分が、全身に認められました。

首の動きの検査

首の可動域を確認しました。

上を向く動きをしたとき顔が天井と平行になる位が理想ですが、途中で止まってしまいます。さらに首と背中に痛みが出るようです。胸や背中の動きが良くないことが原因と予想されます。

顔を左右に向けると、左を向いたときに引っ掛かりを感じます。原因として考えられることの1つに、左の肩甲骨の位置が上に上がって来ている可能があります。

次は肩甲骨の位置に問題が無いかチェックをしてみます。

STEP
施術

指に問題が出ていますが、最初から手に触れることはしません。理由は2つあります。

①炎症が悪化して、来院回数が増える

マッサージすると一瞬は血行が確実に良くなるので、気持ち良くなります。ところが痛みを出している筋肉は炎症しているので、筋肉を押すことで炎症が大きくなってしまいます。すると常に痛みが出続けることになるので、施術をしている間は、症状が良くなってるのか何も変わっていないのか判断できなくなります。

これでは症状が改善されたのか、その場で分からなくなるので、「今日はここまでです。しばらく様子をみてください」と言うことになり、ご来院の回数が増える結果になります。お客様への負担が増えるのは、望ましくありません。

②痛みが出ている場所に原因が無い

指に問題が出ているときは、遠く離れたお腹や脚に原因が潜んでいることが多いです。手の周囲の筋肉をゆるめると一時的に痛みが緩和されますが、根本的な改善にはなりません。
また痛みが出ている筋肉は、ゆるめてはいけない筋肉だったりもします。そうなると施術するほどに、さらに悪くなってしまいます。

以上の2つの理由から、ばね指を訴えてはいますが、はじめから手に触れることはしません。

施術の内容

整体の施術方法をご紹介します。

リラックスできない整体院
ヒップリフト指導

NAKOの整体の特徴は、だんだん気持ちよくなり、気が付くと深い眠りに落ちて、目覚めると痛みは記憶の彼方へ…を目指していないことです。

NAKOの施術は、お客様と二人三脚で検査と施術を繰り返していきます。これは早期の解決のためです。そのため施術の間は立ったり座ったりと姿勢を変えて検査を繰り返すだけでなく、軽い運動をして骨格を整えていきますので、気持ちよく眠っている時間が、なかなか訪れないかもしれません。

NAKOは、滞在期間に限りがある諸外国において、どれだけ短期で痛みを解消できるかという試行錯誤から始まりました。お客様といつ再会できるとは分からないため、その日その場での解決を求められ、研究を重ねて来ました。その結果、現在のような検査や運動を取り入れた、独自の施術を行っています。

STEP
再検査

施術前の検査をしたときに痛みがあった動きに再び挑戦します。座り姿勢でも股関節の痛みが出ることはありませんでした。

ばね指は朝にならないと治ったかどうか判断できないために、その場での確認はできませんでしたが、後日、再発していないと分かりました。

ばね指(弾発指)と診断されたとき
ばね指を放っておくと、どうなりますか?

自然に治ることがあります。症状が悪化した場合はばね指の進行状況によりますが、次のステージで変化していきます。

①指の付け根に痛みがある。朝起きたときに手がむくんでいる。
②指の付け根が腫れたり、熱を帯びた感じある。動かしにくさがある。
③指が曲がったまま戻らない。
④何度も再発を繰り返す。

たとえ自然治癒したとしても、ばね指になりやすい体の使い方をしている状況ですから、この機会にご自身の体のどこが理想的な状態から外れしまっているかを確認すると良いでしょう。

整体で問題を解決する手順

幼いころからの遊びやスポーツ、事故や出産といったさまざまな出来事を通して身についた体の使い方が、今日の体の状態を作っています。

もし痛みが出ているなら、「これまでの体の使い方に問題がありますよ」という、あなたの体からのお知らせに他なりません。

解決するための第一の段階は、痛みを止めることです。検査を通した原因の洗い出しをした上で施術をすれば、痛みは軽減します。痛みが改善した状態になってはじめて、正しい体の使い方を習得する準備が整います。

第二段階は、正しい体の使い方を習得していくことです。元の体へ戻らないように、体と脳を変えていきます。

体の痛みは生活習慣が原因となることが多いですから、ストレッチや運動が必要となってきます。歯磨きと同じようにコツコツした継続が大切です。

痛みを解決したいと思ったら、まずは痛みを止めることです。ストレッチや運動は、その後からです。

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