【実録】ばね指になっても手を動かした方がいい理由

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ばね指になっても手を動かした方がいい理由

ばね指(弾発指・腱鞘炎)になっても手を動かした方がいい理由は、関節が硬くなったま固定される可能性があるからです。

最初は軽症であっても放っていると少しずつ症状が進行してしまうので、早めの解決が大切です。なぜなら指の関節を動かないままにしておくと関節が硬くなり、やがて治療がより難しくなってきます。

ここでは、実際に行った施術をもとに「ばね指」の解決方法を原因から見ていきます。

この記事は、次のような方にも参考になります
  • 弾発指や腱鞘炎と診断されている
  • 手を休めてもばね指の発症する
  • 手術したが再発している

手の酷使は「ばね指」の原因?

ばね指と診断されると、手を使う作業を控えるように指導されることがあります。理由は、ばね指の原因が手や指の使い過ぎから来ているので、手の腱(けん)や腱鞘(けんしょう)へ負荷を軽減させるためです。

ばね指になりやすい作業としては、パソコンのキーボードやマウスの操作、ピアノなど楽器の演奏、テニスなど手を使うスポーツがあげられます。しかしパソコンやスマホなどの指先を酷使する人はたくさんいますし、誰しもがばね指を患う訳ではありません。もし手の酷使が原因であれば、スマートフォンの利用者の増加にともなって、昔よりも多くの方がばね指になっているとも考えられます。

はたして手や指の使い過ぎは、どの程度ばね指の原因となりえるのでしょうか。

手を酷使しても、ばね指にならない人

音楽家の痛みの比率

手や指の使い過ぎが、どのくらいばね指と関係があるのか見ていきましょう。

ここに1つ興味深いデータがあります。音楽家を専門とする医師である酒井直隆氏の著書「音楽家の手の障害」によると「音楽家における腱鞘炎(けんしょうえん)の発症率は全体の30%」です。ばね指は腱鞘炎です。指を酷使する音楽家でさえも、腱の問題によって引き起こされるばね指や腱鞘炎は、全体の30%です。

ばね指になった原因が手の使い過ぎだけでなく、それ以外にあるかもしれないと考えることが必要です。

どのような原因が考えられるのでしょうか?

ばね指の解決に大切なのは、体のクセを知ること

ばね指の原因が、手や指の使い方過ぎだけに限らないことが分かりました。したがって安静にしても治るとは言えないことも分かります。さらに、動かさずにいることで関節が固まるリスクを考えると、強い痛みが出ている場合を除けば、手を動かした方が良いと言えます。

次に考えたいのは「なぜばね指が現れたのか」「手の使い過ぎ以外の原因には何があるのか」「ばね指が出る人と出ない人とには、どのような違いがあるのか?」といった点です。

ばね指に悩む方は、特徴的な体の使い方や、関節の動きに問題があります。それらを知ることで原因を特定し、どのようにして解決してゆくのが最短となるのか見えてきます。ばね指や腱鞘炎を生み出している体のクセを見ていきましょう。

ばね指に悩む人の共通点

ばね指に悩む方で肩が柔軟に動く人はいません。

イラストは肩の動きの検査をしています。人差し指が少なくとも胸椎5番を触れられるのが理想です。手に問題を抱える方は、難しい動作となります。

なぜ手が上がらないのでしょうか?それは胸の筋肉(大胸筋)が硬く縮んでいるために肩の動きに制限をかけているからです。

なお体の柔らかい方は両手を後ろで組めますが、そこまでのしなやかさは必要ありません。両手の指が互いに触れることができれば正常範囲といえます。

胸の筋肉が硬いことは、ばね指にどのような影響を与えるのでしょうか?

ばね指と胸の筋肉の関係

肩が床に着かない

ばね指に悩む方は、胸の筋肉が硬いことがが分かりましたが、なぜばね指の原因となるのでしょうか?

胸の筋肉は肩甲骨の位置に影響します。肩甲骨の位置がずれることは、腕の位置がずれることと同じことです。

腕が正しい位置に無いと、手の動きをコントロールしている筋肉や神経へ圧力が加わります。するとばね指だけでなく、手先を動かしにくく感じたり、しびれが現れることになります。

イラストは肩と床の間に隙間があるかどうかをチェックしています。ここに隙間が無い状態が理想です。胸の筋肉の緊張を解いてゆくと改善していきます。

ばね指:施術の記録

ばね指が、どのような手順で良くなっていくのか記録から見ていきましょう。

STEP
問診
カルテ
カルテ
  • 症状:
    ①ばね指(小指と薬指)
     その他の指も開きにくい
    ②背中の左側に張り・痛み
  • ご年齢:70代
  • お仕事:座る時間が長い
  • 試したこと:ストレッチ、筋肉トレーニング
経緯

これまでの流れを時系列にすると、次のような流れになります。

  1. 20代のときに側弯症と診断された
  2. 昔から首や肩にこりがある。首が動かなかった経験がある。
  3. 1か月前から薬指と小指がばね指。手が開きにくい感覚がある。
  4. 同時期から背中の痛みや張りを感じる
  5. ストレッチや筋肉トレーニングで改善しない
STEP
検査

原因を探るために、さまざまな検査を行います。体のさまざま部位は、動かせる範囲は決まっています。もし本来の動きができないでいたり、上下や左右どちらか一方が動かしにくい場合は、そこが痛みを出す原因として考えられます。

検査結果

検査したところ、うまく機能していない部分が、全身に認められました。

側彎の検査

背骨のゆがみを診ています。

アルファベットのCのようなカーブを描いています。背中の痛みが左側に出ているのは、これ以上カーブ強くならないように左側の筋肉が頑張っているからです。

背中のカーブの原因は2つ考えられます。1つ目は右腕の筋肉(三角筋)が、左腕よりも強いことです。2つ目は左胸の筋肉(大胸筋)が右胸よりも強いことです。

ばね指が左手に出ていることを考えると、左の大胸筋が原因である可能性が高いと考えられます。

大胸筋が緊張した状態は、左の肩を内側へ巻き込むことになります。さらに小胸筋も緊張するため肩甲骨が上へ持ち上がり、位置がずれたままになります。

こうしてばね指を生み出す条件が揃っていきます。

STEP
施術

指に問題が出ていますが、最初から手に触れることはしません。理由は2つあります。

①炎症が悪化して、来院回数が増える

マッサージすると一瞬は血行が確実に良くなるので、気持ち良くなります。ところが痛みを出している筋肉は炎症しているので、筋肉を押すことで炎症が大きくなってしまいます。すると常に痛みが出続けることになるので、施術をしている間は、症状が良くなってるのか何も変わっていないのか判断できなくなります。

これでは症状が改善されたのか、その場で分からなくなるので、「今日はここまでです。しばらく様子をみてください」と言うことになり、ご来院の回数が増える結果になります。お客様への負担が増えるのは、望ましくありません。

②痛みが出ている場所に原因が無い

指に問題が出ているときは、遠く離れたお腹や脚に原因が潜んでいることが多いです。手の周囲の筋肉をゆるめると一時的に痛みが緩和されますが、根本的な改善にはなりません。
また痛みが出ている筋肉は、ゆるめてはいけない筋肉だったりもします。そうなると施術するほどに、さらに悪くなってしまいます。

以上の2つの理由から、ばね指を訴えてはいますが、はじめから手に触れることはしません。

施術の内容

整体の施術方法をご紹介します。

体のプログラムを書き換える整体

「新しいアップデートが公開されました」こうしたお知らせとともに、スマートフォンやコンピューターからアプリの更新が定期的に行われます。その目的は問題を修正したり、より便利に使えるようにプログラムを書き換えるためです。

同じように体のプログラムも毎日のように書き換えられていきます。その目的は、効率的に体を使うためで、例えば体の前で作業が多いなら、手が出しやすいように猫背にするなどして、体の情報を更新していきます。

こうした体のプログラム更新を続けた結果、たとえ悪い姿勢であっても効率を優先した姿勢が定着していきます。

ところが利便性を優先したあまり、新たな姿勢が体には負担となることもしばしば。すると痛みを出してエラーのお知らせをします。

このとき症状を放っておいたり、ケアをしても体のプログラムの更新にまでは至らなかったことが原因で、痛みが長く続くことがあります。これが痛みの慢性化です。

NAKOではさまざま検査を通して問題を見つけ、プログラムを書き換えていきます。ときには更新すると新たな問題が出ることがありますが、検査と検証を重ねて問題が無くなるまでプログラムの更新を繰り返していきます。データ修正を行うエンジニアのようです。

STEP
再検査

施術前の検査をしたときに痛みがあった動きに再び挑戦します。ばね指は元の状態に戻りました。背中の痛みも解消しています。

ばね指(弾発指)と診断されたとき
ばね指を放っておくと、どうなりますか?

自然に治ることがあります。症状が悪化した場合はばね指の進行状況によりますが、次のステージで変化していきます。

①指の付け根に痛みがある。朝起きたときに手がむくんでいる。
②指の付け根が腫れたり、熱を帯びた感じある。動かしにくさがある。
③指が曲がったまま戻らない。
④何度も再発を繰り返す。

たとえ自然治癒したとしても、ばね指になりやすい体の使い方をしている状況ですから、この機会にご自身の体のどこが理想的な状態から外れしまっているかを確認すると良いでしょう。

整体で問題を解決する手順

幼いころからの遊びやスポーツ、事故や出産といったさまざまな出来事を通して身についた体の使い方が、今日の体の状態を作っています。

もし痛みが出ているなら、「これまでの体の使い方に問題がありますよ」という、あなたの体からのお知らせに他なりません。

解決するための第一の段階は、痛みを止めることです。検査を通した原因の洗い出しをした上で施術をすれば、痛みは軽減します。痛みが改善した状態になってはじめて、正しい体の使い方を習得する準備が整います。

第二段階は、正しい体の使い方を習得していくことです。元の体へ戻らないように、体と脳を変えていきます。

体の痛みは生活習慣が原因となることが多いですから、ストレッチや運動が必要となってきます。歯磨きと同じようにコツコツした継続が大切です。

痛みを解決したいと思ったら、まずは痛みを止めることです。ストレッチや運動は、その後からです。

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